徳次郎宿(とくじらしゅく)は、江戸・日本橋から数えて日光街道の18番目にあたる宿場です。現在の栃木県宇都宮市徳次郎町にあり、宇都宮宿と大沢宿の間に位置していました。
天保14年(1843)には家数168軒、人口653人を数え、本陣2軒、仮本陣1軒、脇本陣3軒、仮脇本陣1軒、旅籠72軒がありました。
徳次郎宿の大きな特徴は、下徳次郎・中徳次郎・上徳次郎の3宿で一つの宿場を構成していたことです。それぞれに問屋が置かれ、月を10日ずつに分けて人馬の継立を担当していました。
現在の徳次郎町には、下徳次郎宿の仮本陣跡や智賀都神社、徳次郎城址などが残っています。旧日光街道を歩きながら、宿場の歴史をたどることができます。
徳次郎宿の基本情報
徳次郎宿の所在地や規模など、基本情報をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 宿名 | 徳次郎宿 |
| 読み方 | とくじらしゅく |
| 街道 | 日光街道(日光道中) |
| 宿番号 | 18番 |
| 旧国 | 下野国 |
| 現在地 | 栃木県宇都宮市徳次郎町 |
| 家数 | 168軒 |
| 人口 | 653人 |
| 本陣 | 2軒 |
| 仮本陣 | 1軒 |
| 脇本陣 | 3軒 |
| 仮脇本陣 | 1軒 |
| 旅籠 | 72軒 |
| 問屋 | 3か所 |
| 前の宿 | 宇都宮宿 |
| 次の宿 | 大沢宿 |
| 最寄りの交通 | JR宇都宮駅から路線バス |
家数や人口、本陣、脇本陣、旅籠などの数は、天保14年(1843)の『日光道中宿村大概帳』に基づいています。
徳次郎宿の場所
徳次郎宿は、現在の宇都宮市徳次郎町にありました。旧日光街道は現在の国道119号付近を南北に通り、街道沿いに下徳次郎・中徳次郎・上徳次郎の3宿が続いていました。
前の宇都宮宿までは2里18町、次の大沢宿までは2里9町です。
宇都宮宿 ← 徳次郎宿 → 大沢宿
徳次郎宿では、3宿が一つの宿駅として人馬の継立などを分担していました。
徳次郎宿は上・中・下の3宿で構成されていた
徳次郎宿は、下徳次郎宿・中徳次郎宿・上徳次郎宿の3宿で構成されていました。
『日光道中略記』によると、元和3年(1617)の時点では上徳次郎宿だけが人馬の継立を行っていました。
その後、享保13年(1728)から中徳次郎と下徳次郎も継立を担当するようになります。月の最初の10日間は中徳次郎、次の10日間は上徳次郎、最後の10日間は下徳次郎が担当しました。
それぞれの宿には問屋が置かれ、人や荷物を次の宿場へ送り継ぐ仕事を交代で担っていました。
また、上・中・下徳次郎に門前村・田中村・西根村を加えた地域は「徳次郎六郷」と呼ばれていました。
徳次郎宿には本陣2軒・仮本陣1軒があった
天保14年(1843)の徳次郎宿には、本陣2軒、仮本陣1軒、脇本陣3軒、仮脇本陣1軒がありました。
本陣は中徳次郎と上徳次郎に1軒ずつ置かれ、下徳次郎には仮本陣がありました。脇本陣は中徳次郎に1軒、上徳次郎に2軒あり、下徳次郎には仮脇本陣が置かれていました。
旅籠は3宿を合わせて72軒ありました。家数168軒のうち多くを旅籠が占めており、旅人を受け入れる施設が充実していたことが分かります。
現在は本陣や脇本陣の跡地が伝えられており、下徳次郎には問屋場を兼ねた仮本陣跡があります。
「徳次郎」は「とくじら」と読む
徳次郎宿は「とくじらしゅく」と読みます。
この読み方は歴史資料からも確認できます。元和8年(1622)の『梅津政景日記』には、佐竹義宣が日光参詣の途中に「とくしら」で昼休みをしたことが記されています。また、明治40年(1907)発行の『大日本地名辞書』には、徳次良宿の読みとして「トクジラ」と記載されています。
一方、昭和29年(1954)に旧富屋村が宇都宮市へ編入された際、行政上の町名は「徳次郎町(とくじろうまち)」と定められました。その後も、地域では「とくじら」という呼び方が使われ続けていました。
こうした歴史的背景を踏まえ、宇都宮市は令和3年(2021)3月1日に町名の読み方を「とくじろうまち」から「とくじらまち」へ変更しました。
現在の正式な町名は「徳次郎町(とくじらまち)」です。
智賀都神社は徳次郎六郷の鎮守
智賀都神社は、徳次郎町の旧日光街道沿いにある神社です。
宝亀9年(778)に日光二荒山神社を勧請して創建されたと伝えられ、徳次郎六郷の鎮守として信仰されてきました。
参道入口には、「長寿の夫婦ケヤキ」と呼ばれる2本の大きなケヤキがあります。いずれも樹高約40mの巨木で、栃木県の天然記念物に指定されています。
智賀都神社では現在も祭礼が行われています。3年に一度の付け祭りでは、西根・田中・門前・上町・中町・下町の6台の彫刻屋台が旧日光街道へ繰り出します。
智賀都神社は、徳次郎六郷の歴史を現在に伝える神社でもあります。
徳次郎宿には大谷観音へ向かう道もあった
下徳次郎宿には、大谷方面へ向かう道の分岐がありました。
現在も旧街道沿いには、「大谷道」「下徳次郎」と刻まれた道標が残っています。ここから大谷観音方面へ向かう道が分かれていました。
徳次郎宿は日光街道の宿場であると同時に、周辺地域へ向かう道が分かれる場所でもありました。
現在の徳次郎宿周辺に残る見どころ
現在の徳次郎町には、下徳次郎宿の仮本陣跡や智賀都神社、徳次郎城址、大谷道道標などが残っています。
旧日光街道沿いには歴史的な建物も残っており、宿場の面影をたどることができます。
下徳次郎宿の仮本陣跡
下徳次郎宿には、問屋場を兼ねた仮本陣が置かれていました。
現在も仮本陣跡が伝えられており、宇都宮観光コンベンション協会の旧日光街道ウォーキングコースでも紹介されています。
現在は個人宅にあたるため、見学する際は敷地内へ立ち入らず、旧街道から位置を確認しましょう。
智賀都神社
智賀都神社は、徳次郎六郷の鎮守として信仰されてきた神社です。
宝亀9年(778)に日光二荒山神社を勧請して創建されたと伝えられています。
鳥居の両側には「長寿の夫婦ケヤキ」と呼ばれる2本の巨木があり、栃木県の天然記念物に指定されています。
徳次郎城址
徳次郎城址は、徳次郎町に残る中世の城跡です。
宇都宮氏の家臣によって築かれた平城で、宇都宮氏の滅亡とともに廃城となりました。
現在も外堀や内堀、本丸跡などが残り、宿場が形成される以前の徳次郎周辺の歴史を伝えています。
大谷道道標
下徳次郎には、大谷方面へ向かう道の分岐を示す道標が残っています。
道標には「大谷道」「下徳次郎」と刻まれており、旧日光街道から大谷観音方面へ向かう道が分かれていたことを伝えています。
見世蔵(小日野屋)
旧日光街道沿いには、小日野屋の見世蔵が残っています。
建物には、宇都宮北西部で採掘された徳次郎石が張り石として使われています。
宿場時代そのものの建物ではありませんが、徳次郎に残る歴史的な町並みを伝える建造物の一つです。
徳次郎宿へのアクセス
徳次郎宿には鉄道駅がないため、公共交通ではJR宇都宮駅から路線バスを利用します。
JR宇都宮駅から日光方面へ向かうバスに乗り、下徳次郎・中徳次郎・上徳次郎周辺で下車すると、旧日光街道沿いを歩くことができます。
智賀都神社へは、JR宇都宮駅から「日光東照宮」行きの路線バスで約35分、「晃陽中前」下車後、徒歩約5分です。
徳次郎宿は下・中・上の3宿からなるため、宿場跡は南北に広がっています。全体を歩く場合は、ある程度の距離があることを踏まえて巡るとよいでしょう。
徳次郎宿の前後の宿場
徳次郎宿は、日光街道の18番目の宿場です。江戸方面には宇都宮宿、日光方面には大沢宿があります。
宇都宮宿 ← 徳次郎宿 → 大沢宿
前の宿場:宇都宮宿
次の宿場:大沢宿
日光街道21宿の一覧を見る
徳次郎宿に関するよくある質問
徳次郎宿の読み方や規模、3宿の仕組み、現在の見どころについて、よくある疑問をまとめます。
徳次郎宿は何と読みますか?
「とくじらしゅく」と読みます。
現在の地名も「徳次郎町(とくじらまち)」です。昭和29年(1954)から行政上は「とくじろうまち」と読まれていましたが、歴史的な読み方を踏まえ、令和3年(2021)に「とくじらまち」へ変更されました。
徳次郎宿は日光街道の何番目の宿場ですか?
江戸・日本橋から数えて18番目の宿場です。
江戸方面から、宇都宮宿、徳次郎宿、大沢宿の順に続きます。
徳次郎宿は一つの宿場ではなかったのですか?
徳次郎宿は、下徳次郎宿・中徳次郎宿・上徳次郎宿の3宿で一つの宿場を構成していました。
享保13年(1728)以降は、月を10日ずつに分け、3宿が交代で人馬の継立を担当しました。
徳次郎宿はどのくらいの規模でしたか?
天保14年(1843)には、家数168軒、人口653人でした。
本陣2軒、仮本陣1軒、脇本陣3軒、仮脇本陣1軒、旅籠72軒がありました。
徳次郎六郷とは何ですか?
上徳次郎・中徳次郎・下徳次郎に、門前村・田中村・西根村を加えた6つの地域の総称です。
智賀都神社は、この徳次郎六郷の鎮守として信仰されてきました。
徳次郎宿では現在何を見学できますか?
下徳次郎宿の仮本陣跡、智賀都神社、徳次郎城址、大谷道道標などをたどることができます。
旧日光街道沿いには歴史的な建物も残っており、上・中・下の3宿から成り立っていた徳次郎宿の範囲を歩いて確認できます。
参考資料・典拠
本記事の執筆では、以下の資料を参照しました。
- 宇都宮市『宇都宮市文化財保存活用地域計画』
- 宇都宮市『宇都宮市歴史文化基本構想』
- 宇都宮市「徳次郎町の名称(読み方)が変更になりました」
- 宇都宮市「徳次郎の名称(由来・読み方等)に係る参考資料」
- 宇都宮観光コンベンション協会「宇都宮市内の日光街道をウォーキング! 宇都宮宿~徳次郎宿日帰りコース」
- 宇都宮観光コンベンション協会「智賀都神社」
- 『日光道中略記』
- 『日光道中宿村大概帳』
- 児玉幸多校訂『近世交通史料集 6 日光・奥州・甲州道中宿村大概帳』
- 平凡社『日本歴史地名大系 栃木県の地名』
- 『宇都宮市史』

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